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13 July 2026

インド医療機器・医療器具:市場参入および事業拠点設立

A
Acuity Law

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インドの医療機器市場への参入を検討する日本企業向けに、規制承認、輸入手続き、税制、事業形態の選択、製造インセンティブなど、市場参
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日本に拠点を置く国際企業・多国籍企業向け入門ガイド

概要

インドは、医療機器、医療器具、および診断分野において、世界有数の成長市場の一つとして台頭しています。日本を拠点とする国際企業および多国籍企業にとって、インド市場は、輸入、流通、病院調達、技術提携、受託製造、組立事業、さらには長期的な現地製造投資など、幅広い分野において大きな商業機会を提供しています。

また、日印間の貿易および投資関係は、2011年に締結された「日本・インド包括的経済連携協定(Comprehensive Economic Partnership Agreement :CEPA)」によってさらに強化されており、二国間の貿易・投資および経済協力の促進に向けた枠組みが構築されています。同協定は、適格製品に対する特恵関税措置を提供しており、必要なコンプライアンス要件を満たすことを条件として、多くの医療機器もその対象に含まれています。

しかしながら、インド市場への参入には、高度で変化し続ける法務・規制・税務・商業環境への対応が求められます。これには、医療機器の承認制度、関税・貿易規制、外国投資および為替管理法にくわえ、企業構造設計(コーポレート・ストラクチャリング)、移転価格税制、間接税、政府インセンティブ、労務コンプライアンス、ならびに業界特有の製造規制など、多岐にわたる領域の慎重な検討が含まれます。

本FAQは、日本に拠点を置く医療機器メーカー、ヘルスケアテクノロジー企業、輸出業者、販売代理店(ディストリビューター)および投資家を対象として、インドにおける事業の立ち上げ、拡大および商業化に関連する主要な法務・規制・税務・ストラクチャリングに関する論点について、実務的な概観を提供することを目的としています。あわせて、インド市場への参入プロセスにおいて一般的に生じるリスク領域、コンプライアンス上の要求事項、および戦略的な検討事項についても提示するものです。

SECTION A — インドにおける医療機器・医療器具市場の理解

Q1. 「日本・インド包括的経済連携協定(CEPA、2011年)」は、日本企業がインドへ医療機器を販売する場合にどのような影響を与えますか?

2011年に日本とインドの間で締結された「日本・インド包括的経済連携協定(Comprehensive Economic Partnership Agreement :CEPA)」は、両国間の優遇的な貿易および投資の枠組みを提供するものです。日本の医療機器メーカーおよび輸出業者にとって、CEPAは、適格製品に対する関税上の優遇措置を提供するとともに、所定の条件を満たすことを前提として、インド市場へのアクセス拡大を可能にします。

  • 特恵関税待遇CEPAの附属書1は、日印間で取引される幅広い品目について関税譲許を定めています。多くの医療機器はCEPAのB10カテゴリーに分類されており、適用されるスケジュール上の要件(日本原産であることを証明する有効な原産地証明書の提出等)を満たすことを前提として、これらの医療製品・医療機器は、インドへの輸入時に関税減免措置の適用対象となり得ます。
  • 市場アクセスの向上:CEPAは、関税障壁の引き下げおよび二国間貿易の促進を通じて、成長を続けるインドの医療分野に医療機器を供給しようとする日本企業に対し、よりスムーズな市場アクセスを可能にします。
  • 原産地規則の遵守:CEPAに基づく特恵関税待遇の適用を受けるためには、輸入製品が適用される原産地規則の要件を満たしている必要があり、所定の原産地証明書を添付することが求められます。したがって、日本の製造業者は、関連する原産地基準を満たしていることを確保するため、自社のサプライチェーンおよび製造プロセスを確認する必要があります。
  • サプライチェーン最適化:インドおよび日本において製造、組立、または部品調達を行う企業は、適用される関税および原産地規則を遵守することを前提として、CEPAの特恵貿易枠組みを活用するためにサプライチェーンを構築・最適化できる可能性があります。

注記:CEPAに基づく関税譲許の適用可否およびその範囲は、当該医療機器の具体的な関税分類(HSコード)およびCEPAにおけるインド側の関税譲許スケジュールに基づきます。したがって、特恵待遇の適用を前提とする前に、個別製品ごとの分析を行うことが推奨されます。

SECTION B — 規制上の承認:インドにおける製品のライセンス取得

Q2. インドにおいて医療機器および医療器具に適用される法的・規制上の枠組みはどのようなものですか?

インドにおける医療機器の規制枠組みは、保健・家族福祉省の下部組織である中央医薬品標準管理機構(Central Drugs Standard Control Organization:CDSCO)が所管する以下の法令および規則によって規律されており、主なものとして以下が挙げられます。

法令/規制機関 役割
1940年医薬品・化粧品法(DCA 医療機器が「医薬品」として規制される根拠となる親法令であり、輸入、製造および販売に関する法的枠組みを提供する。また、中央政府に対して特定の機器を「医療機器」として指定する権限を付与する。
1945年医薬品・化粧品規則 DCAに基づく下位法規であり、医薬品および医療機器の輸入、製造、ライセンスおよび流通を規律する。これらの規則は、医療機器についてMDR 2017により置き換えられていない範囲において、引き続き適用される。
2017年医療機器規則(MDR 2017 医療機器に関する主要な規制枠組み(2018年1月1日施行)。リスクに基づく分類(クラスA〜D)を定めるとともに、ライセンス、輸入、製造、臨床試験、市販後監視および医療機器の識別(UDI)を規律する。
2020年医療機器(改正)規則 本改正は、2020年4月1日より、MDR 2017の適用範囲を医療機器の定義に該当するすべての機器に拡大し、CDSCOへの登録を義務付ける。
CDSCO(中央医薬品標準管理機構) 保健・家族福祉省の下に設置された国家規制当局であり、医療機器に関する中央ライセンス当局として機能するとともに、輸入ライセンスに関する電子申請を処理するためのSUGAMポータルを管理・運営する。
州ライセンス当局(SLAs クラスAおよびクラスBの医療機器に係る製造ライセンスを付与する指定当局。
インド規格局(BIS BIS法は、製品、工程およびシステムについて、品質、安全性および消費者保護を確保するための強制認証、ホールマークおよび適合性評価に関する法的枠組みを定めている。特定の医療機器について当該認証が義務付けられている場合には、その遵守は必須となる。
国家医薬品価格規制庁(NPPA 2013年医薬品(価格統制)令に基づき、指定医療機器の上限価格を規制する。なお、非指定医療機器の価格は市場に委ねられる。

Q3. インドにおいて医療機器および医療器具はどのように分類され、その分類はなぜ重要なのですか?

インドでは、2017年医療機器規則(Medical Devices Rules, 2017)に基づき、国際医療機器規制当局フォーラム(International Medical Device Regulators Forum: IMDRF)の枠組みをモデルとした、リスクに基づく4段階の医療機器分類制度が採用されています。

クラス リスクレベル 輸入ライセンス要件
A 低リスク 非測定機器および非滅菌機器 ライセンス要件は免除されるが、2017年MDR規則19Jに基づき、医療機器オンラインシステムへの登録が必要。
滅菌機器または測定機器 CDSCOにForm MD-14で申請し、Form MD-15によりライセンスが付与される。
B 低〜中リスク 注射針、縫合針、再使用可能な手術器具、体温計 CDSCOにForm MD-14で申請し、Form MD-15によりライセンスが付与される。
C 中〜高リスク 透析装置、人工呼吸器、CTスキャナー、輸液ポンプ CDSCOにForm MD-14で申請し、Form MD-15によりライセンスが付与される(審査期間は長め)。
D 高リスク MRI装置、ペースメーカー、植込み型除細動器、リニアック、能動型埋込み医療機器 CDSCOにForm MD-14で申請し、Form MD-15によりライセンスが付与される(最も厳格な要件)。

分類は次の点を決定するために重要です。(a)必要となる提出書類、(b)インド国内の臨床データの要否、(c)承認に要する期間および費用。
さらに、医療機器のクラスに応じて、Form MD-15による輸入ライセンスの取得には、当局による書類審査を含め、通常約9か月を要します。

Q4. 海外製造業者がインドにおいて医療機器または医療器具を販売するための輸入ライセンス取得手続きはどのようなものですか?

外国製造業者の輸入ライセンス取得手続きは、以下の手順で進められます。

  1. インド国内の正規代理人(Authorised Indian Agent)の選任:外国製造業者は、インドにおける規制上の代理人として、インド法人等の組織を必ず指定しなければなりません。
    当該正規代理人は、2017年医療機器規則(Medical Devices Rules, 2017:MDR 2017)に基づき、販売・流通のための製造・卸売ライセンス、またはForm MD-42による登録証明書のいずれかを有している必要があります。さらに、正規代理人との間で委任状(Power of Attorney)を締結することが求められます。
    当該代理人は、申請に提出されるすべての書類に連署し、重要な規制責任を負うとともに、製造業者に代わって中央医薬品標準管理機構(CDSCO)との窓口業務を担います。
  2. 医療機器の分類を確認:CDSCOの分類リストに基づき、当該医療機器のクラスを確認します(Q3参照)。
  3. 技術文書の作成:輸入申請を裏付けるために必要な技術文書を作成し、取りまとめます。必要書類は申請対象となるクラスによって異なりますが、主に以下の項目が含まれます。
    1. 海外製造所または事業所の公証済み写し、および当該国の国家規制当局または同等の権限を有する当局が発行した自由販売証明書(Free Sale Certificate:FSC)の公証済み写し。
    2. 製造所に関する品質マネジメントシステム(QMS)証明書またはフル品質保証(Full Quality Assurance)証明書の公証済み写し。
    3. 有効な卸売ライセンスまたは製造ライセンスの自己証明付き写し。
    4. 過去3年以内にノーティファイドボディ(Notified Body)、国家規制当局、または権限ある当局により実施された最新の検査・監査報告書の写し(該当する場合)。
    5. 国内製造業者または正規代理人の組織情報。
    6. 所定のサイトマスターファイル(Site Master File)の写し。
    7. 所定のデバイスマスターファイル(Device Master File)の写し。
    8. 特定の医療機器については、医療機器の種類に応じたBIS認証。なお、当該医療機器の申請においてBIS認証が必須か否かについては、正規代理人により確認されるものとします。
  1. 輸入ライセンスの申請:輸入ライセンスの申請は、MDR 2017に基づく所定の手数料および関連書類とともに、Form MD-14 を通じてSUGAMポータル上で行われます。
  2. CDSCOによる審査および照会:CDSCOは通常、複数回にわたり照会を行い、必要に応じて評価または試験を求めることがあります。そのため、申請者は正規代理人と連携し、能動的に期限内に対応する必要があります。
  3. ライセンスの交付:承認が下りた場合、Form MD-15による輸入ライセンスが交付されます。当該ライセンスは製品および製造業者ごとに付与されるものであり、各ブランドまたはモデルごとに個別の手数料およびライセンスが必要となります。
    不許可となった場合、申請者は45日以内に中央政府へ不服申立てを行うことができます。当該不服申立てを受理した場合、中央政府は90日以内に決定を行うものとします。
  4. ライセンス取得後の義務:CDSCOへの固有機器識別子(Unique Device Identifier:UDI)の登録、MDR 2017第44条に基づく表示要件の遵守、市販後調査記録の維持、および有害事象の速やかな報告を行うものとします。

Q5. 現在、ライセンスが免除されている、または簡素化された手続きの対象となっている医療機器および医療器具のカテゴリーはありますか?

はい。以下のカテゴリーは規制上の負担が軽減されています。

  • クラスA(非計量・非滅菌)医療機器:すべてのクラスA(非滅菌および非計量)の医療機器は、2017年医療機器規則(MDR 2017)の下で、輸入ライセンスの取得が免除されています。
    ただし、製造業者または輸入業者は、当該機器について登録を行う必要があります。また、これらのカテゴリーについては、SUGAMポータル上で自己申告を行うことが認められています。例として、基本的な包帯や一部の非滅菌器具などが含まれます。
  • 輸出専用医療機器:これらの医療機器はインドにおける製造・輸入ライセンスを取得および保持する必要がありますが、MDR 2017に基づく表示義務などの国内販売規制の対象とはなりません。ただし、仕向国の規制に適合する必要があります。
  • 臨床試験またはデモンストレーション用医療機器:Form MD-16(臨床試験用輸入)の申請により、商業用輸入ライセンスとは別の申請ルートが設けられています。
  • 滅菌の外部委託(アウトソーシング):近年、医薬品技術諮問委員会(Drugs Technical Advisory Board)は、滅菌を許可された第三者施設に外部委託する製造業者については、当該施設がForm MD-3/4またはForm MD-9/10に基づきすでにライセンスを取得している場合、ローンライセンス(loan license)は不要となる可能性がある旨を提言しています。ただし、当該提言は現時点では官報(Gazette)による改正としてはまだ通知されていません。

Q6. インドにおいて販売される医療機器および医療器具の表示(ラベリング)要件は何ですか?

インドで販売される医療機器の表示は、MDR 2017第VI章に準拠しなければなりません。主要な要件は以下のとおりです。

  • 必須表示事項:必須の表示要件としては、医療機器の名称、製造業者の名称および住所、(輸入医療機器の場合)インド国内の正規代理人/輸入業者の名称および住所、ロット番号またはシリアル番号、製造年月日、使用期限/有効期間(該当する場合)、保管および取扱い条件、滅菌の有無および滅菌方法、CDSCO輸入ライセンス番号、ならびに特定の警告または注意事項などが含まれます。
  • 固有医療機器識別子(UDI):2017年医療機器規則(Medical Devices Rules, 2017)第46条では、医療機器に固有医療機器識別子(UDI)を表示することが求められています。ただし、CDSCOの通知により、リスククラスに応じて段階的に導入が進められています。
    現在、UDI要件はクラスCおよびクラスDの医療機器について義務付けられており、クラスBおよびその後のクラスAについては、CDSCOが定める実施スケジュールに従って段階的に導入が進められています。
  • 使用説明書(IFU):使用説明書(IFU)は必ず提供されなければならず、場合によっては電子版使用説明書(eIFU)が認められます。

Q7. ソフトウェア医療機器(SaMD)とは何ですか。また、インドではどのように規制されていますか?

医療機器としてのソフトウェア(Software as a Medical Device:SaMD)とは、物理的な医療機器の一部としてではなく、診断、予測、予防、モニタリングまたは治療といった医療目的のために単独で使用されるソフトウェアを指します。これには、AIを活用した診断ツール、臨床意思決定支援システム、遠隔患者モニタリング・プラットフォームなどが含まれ、インドにおいては特に重要かつ新たに発展しつつある規制分野となっています。

  • 規制上の位置付け:2017年医療機器規則(MDR 2017)を医薬品・化粧品法(DCA)とあわせて解釈すると、医療機器の定義は十分に広く、医療機能を果たすソフトウェアもその範囲に含まれます。
  • 医療機器ソフトウェアに関するCDSCOドラフトガイダンス:2025年10月21日、中央医薬品標準管理機構(CDSCO)は、SaMD(スタンドアロンの医療用ソフトウェア)とSiMD(医療機器に組み込まれたソフトウェア)を区別するガイダンス案を発出しました。このドラフトガイダンスは国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)の枠組みに整合しています。
  • 分類:SaMDは、臨床的意義および医療環境におけるリスクの重大性に基づき、4つのリスククラス(A〜D)に分類されます。
  • ライセンス:クラスAおよびBのSaMDの製造ライセンス申請は州ライセンス当局(SLAs)へ、クラスCおよびDのSaMDの製造ライセンス申請はCDSCOに対して行います。ただし、すべてのクラスのSaMDに係る輸入ライセンスについては、CDSCOに申請する必要があります。
  • 適用要件:医療機器ソフトウェアには、MDR 2017に基づき、他の医療機器に適用されるものと同様の品質マネジメント、安全性および市販後監視の要件が適用されます。

SECTION C — 輸入、税関および貿易規制

Q8. 日本からインドに輸入される医療機器や医療器具には、どのような関税および輸入税が適用されますか?

日本は、インドにとって最も戦略的に重要な医療機器供給国の一つです。約27社の日本の医療関連企業がインド市場に進出しており、そのうち17社は貿易を通じた商業活動を行い、10社は製造拠点を運営しています。
2026年時点において、日本からの輸入品に対するインドの関税品目の約90%は、0%または大幅に引き下げられた税率が適用されています。

課税項目 標準税率 備考
基本関税(BCD) 0%〜7.5%(CEPA適用) 医療機器および医療器具のほとんどは0%の基本関税が適用される。ただし、一部の部品には7.5%が適用される場合があり、その結果、完成品の輸入が国内製造より有利となる「逆関税構造」が生じることがある。
社会福祉付加税(SWS) BCDの10%(ただしBCDが0%の場合は実質0%) 課税対象は課税評価額ではなく、BCD額に対して適用される。
統合物品・サービス税(IGST) 5%/12%/18% 旧制度の相殺関税(CVD)および特別追加関税(SAD)に代替されるもの。医療機器の多くは12%のIGSTが適用されるが、一部は5%または18%が適用される。輸入時に支払ったIGSTは、通常、仕入税額控除(ITC)として売上GST負担額から控除可能(Q11参照)。
健康目的付加税(Health Cess) 課税価額の5% 2020年財政法以降、特定の医療機器に対して課税されている。
通関手数料・港湾費用 変動 港湾ごとに異なり、運賃・保険料込み価格(CIF)の1〜3%程度のコストが発生する。
総実効税負担(参考値) 約10%~15% HSコードおよび機器カテゴリーによって大きく異なる。IGSTはITCとして回収可能だが、BCD・SWS・Health Cessは回収不可。

医療機器に関しては状況は良好です。というのも、ほとんどの製品が第90類(医療・光学機器)、第30類(医薬品)、第28類(化学品)に分類されており、これらはいずれもインドが大幅な関税引き下げを約束している品目カテゴリーに該当するためです。

製品カテゴリ― HSN 最恵国待遇(MFN)基本関税(その他国) 日印CEPA適用関税率
MRI装置、CTスキャナー 9018.13 / 9022.12 7.5% 0%
X線装置 9022.14 / 9022.19 10~15% 0%
内視鏡(Olympus、Pentax、Hoya) 9018.19 7.5% 0%
超音波診断装置 9018.12 7.5% 0%
心電計・患者モニター(日本光電、フクダ電子) 9018.11 7.5% 0%
透析器・透析装置(Nipro、Terumo) 9018.90 7.5% 0%
カテーテル・ステント(Terumo) 9018.39 / 9021.90 7.5% 0%
整形外科インプラント 9021.10 / 9021.31 7.5% 0%

IGSTは国内税(貿易措置ではない)であり、CEPAの適用範囲外であるため、引き続き適用されます。ただし、IGSTの課税ベースにはBCDも含まれるため、BCDの引き下げはIGSTにも大きな影響を及ぼします。以下に例示表を示します。

課税項目 税率(MFN 金額(INR 税率(CEPA 金額(INR
関税評価額(Assessable Value) 10,000,000(約105,842米ドル) 10,000,000(約105,842米ドル)
基本関税(BCD) 7.5% 750,000(約7,938米ドル) 0% 0
健康目的付加税(Health Cess) 課税評価額の5% 500,000(約5,298米ドル) 課税評価額の5% 500,000(約5,298米ドル)
社会福祉付加税(SWS) BCDの10% 75,000 (約794米ドル) 0%(BCDがゼロのため課税なし) 0
小計(課税評価額+関税) 11,325,000 (約119,866米ドル) 10,500,000(約111,135米ドル)
統合物品・サービス税(IGST) 5% 566,250(約5,993米ドル) 5% 525,000(約5,557米ドル)
総到着時税負担(Landed duty) 1,891,250(約20,017米ドル) 1,025,000(約10,848米ドル)
実効税率 約19%   約10%  

特恵の適用を受けるためには、貿易協定における原産地規則の運用を定める2020年関税(原産地規則の貿易協定に基づく運用)規則[Customs (Administration of Rules of Origin under Trade Agreements) Rules, 2020:CAROTAR]を遵守する必要があります。日本側の原産地証明書発給機関は、日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization:JETRO)および認定された日本の商工会議所(Japan Chambers of Commerce and Industry:JCCI)です。

かつては、輸出国の商工会議所が発行する押印付きの原産地証明書がほぼ決定的なものとして扱われていましたが、CAROTARはその取扱いを見直し、輸入者自身に対して、申告された原産地基準が満たされていることを確認するための基本的なデューデリジェンス(相当の注意義務)を課すこととしました。そのため、原産地証明書の提出のみでは十分ではない場合があります。さらに最近では、2025年3月の改正により、CAROTARにおける「原産地証明書」という用語が、より広範な「原産地の証明(Proof of Origin)」という用語に置き換えられました。

日本からの医療機器輸入に関しては、インドの輸入者は原産地証明書のみに依拠することはできず、当該貨物が真正に日本原産であることを示す記録を保持しなければなりません。日系企業の現地子会社などの多国籍企業の場合は対応が比較的容易ですが、販売代理店を通じた輸入の場合には、日本側輸出者との間で体系的な文書協力体制が必要となります。

承認された目的の下で新規建設または拡張プロジェクトとして医療機器一式を輸入する病院については、1986年プロジェクト輸入規則(Project Imports Regulations, 1986)により、当該機器一式全体に対して譲許的な基本関税(BCD、現在7.5%)が適用されます。したがって、CEPAが依然として主要な枠組みではあるものの、プロジェクト輸入制度は、原産地が混在する機器一式に対する追加的な輸入手続きの選択肢を提供します。

Q9. インドにおけるHSコード分類制度とは何ですか。また、製品に適したコードはどのように見つけますか?

インドでは、関税分類において統一商品名称分類制度(Harmonised System of Nomenclature:HSN)が採用されており、世界貿易機関(WTO)の統一システムに準拠しつつ、インド独自の8桁レベルの細分類が設けられています。
正確なHSコード分類は極めて重要であり、(a) 適用される関税率、(b) インド規格局(BIS)の品質管理命令(QCO)の適用有無、(c) CEPAに基づく特恵関税の適用可否、(d) IGST税率(GST制度においても同様のHSN分類が適用される)を決定する要素となります。

  • インド関税率表第90:ほとんどの医療用機器、装置および器具はHS第90類(90.xx)に分類されます。具体的な項目には、9018(医療用機器および装置)、9019(機械療法、マッサージ、心理適性検査装置)、9021(整形外科用器具、副木、人体の人工器官・人工部品、補聴器、ペースメーカー)、9022(X線および放射線装置)、9027(物理的または化学的分析用機器)が含まれます。
  • 第84類および第85: 医療用途と産業用途の双方を有する一部の機器(例:特定の遠心分離機、ポンプ、電子機器など)は、第84類(機械類)または第85類(電気機器)に分類される場合があり、その分類により異なる関税率が適用されます。
  • 体外診断用医薬品(IVD)試薬および消耗品:通常、第38類(その他の化学工業生産品)または第30類(医薬品)に分類されます。
  • ソフトウェア(SaMD):現時点ではGSTの目的上、サービスコードとして分類されていますが、この取扱いは現在も変化しつつあります。

Q10. インドに輸入される医療機器には、輸入制限、輸入禁止、または強制的な認証要件はありますか?

はい。2017年医療機器規則(MDR 2017)に基づく中央医薬品標準管理機構(CDSCO)輸入ライセンスの取得にくわえて、市場参入に際しては、以下を含む一定の規制当局の承認およびコンプライアンス要件が必須となります。

  • 中古・再生医療機器:CDSCOは、現行の規制制度の下では、商業販売を目的とした再生・中古医療機器の輸入は認められていないとしています。
  • 危険物質:放射性物質を含む医療機器、特定のリチウム電池、または特定の化学物質を含有する機器については、リスクの性質に応じて、原子力規制委員会(Atomic Energy Regulatory Board:AERB)および/または環境・森林・気候変動省(Ministry of Environment, Forest and Climate Change:MoEFCC)からの追加承認が必要となります。
  • 臨床試験用医療機器:臨床試験またはデモンストレーション(商業販売を目的としない)のために輸入される医療機器は、CDSCOからフォームMD-16による事前承認を取得する必要があります。
  • サンプルの輸入:デモンストレーションまたは試験目的のための少量の輸入には、フォームMD-16によりCDSCOの別途許可が必要です。

Q11. GSTとは何ですか。また、インドで販売される医療機器および医療器具にはどのように適用されるのでしょうか?

インドの物品・サービス税(Goods and Services Tax:GST)は、2017年7月に導入され、それ以前に存在していた複数の間接税[付加価値税(VAT)、中央販売税(CST)、サービス税、物品税(excise duty)など]を統合・置き換えた包括的な間接税です。インドにおいて医療機器を販売する外国企業にとっては、インド子会社、販売代理店を通じた販売、あるいは直接販売のいずれの形態であっても、GSTが主要な国内間接税となります。

カテゴリ HSN / サービス会計コード(SAC GST税率(2025年9月以降) 改正前税率(2022年7月18日~2025年9月)
診断用画像機器(MRI、CT、X線、超音波、マンモグラフィ) 9018 / 9022 5% 12〜18%
人工呼吸器、BiPAP、酸素濃縮器 9019 5% 12%
医療用酸素 28044010 5%(病院向け供給については実質的に非課税) 12%
個人用防護具(PPE) — 手術用・N95マスク、手術用手袋、ガウン 6210/4015/6307 5%(医療用グレードの製品の大半) 5〜12%
IVD試薬、検査キット、診断キット、血糖計、試験紙 3822 / 9027 5% 12〜18%
脱脂綿、ガーゼ、包帯、注射器、針 3005 / 9018 5% 12%
整形外科用インプラント、人工関節、骨折固定具 9021 5% 5%(変更なし)
補聴器 9021.40 0%(免税) 0%(変更なし)
歯科用機器(ドリル、歯科チェア、歯科器具等) 9018.41/9018.49 5% 18%
病院用ベッド、ストレッチャー、手術台、医療家具 9402 18% 18%(変更なし)
眼鏡、コンタクトレンズ、フレーム 9001/9003/9004 5〜18%(品目による) 5〜18%
ソフトウェア/SaMD/SaaS(PACS、RIS、AI診断を含む) SAC 998314/997331 18% 18%(変更なし)
  • 仕入税額控除(ITC): GSTは引き続き付加価値税の原則およびそれに伴う税額控除の仕組みを採用しています。つまり、仕入れ時に支払ったGST(輸入時に支払ったIGSTを含む)は、仕入者がGST登録事業者であり、当該仕入れが事業目的で行われる課税取引に用いられるものであることを条件として、販売時に納付すべきGSTから控除することができます。
  • GST登録: 年間売上高が4,000,000インドルピー(約42,337米ドル)を超える物品の供給事業者、または2,000,000インドルピー(約21,169米ドル)を超えるサービスの供給事業者は、インド国内に固定的施設を有する外国法人を含め、GST登録を行う必要があります。なお、これらの基準に該当しない場合であっても、一定の例外的な状況においては、GST登録が義務付けられる場合があります。
  • 輸入に対するIGST: 輸入取引にはIGST(国内供給と同一税率)が適用されます。このIGSTは、インド側の輸入者において、仕入税額控除(Input Tax Credit:ITC)として全額控除の対象となります。

SECTION D — 事業形態:インドにおける拠点設立の時期と方法

Q12. 日本企業がインドで医療機器を販売するための選択肢にはどのようなものがありますか。また、どのようなケースにおいては輸出のみとすべきか、またはインドに拠点を設立すべきかをどのように判断しますか?

日本企業には、インド市場への進出・発展段階に応じて、それぞれの段階に適した4つの主要な事業形態の選択肢があります。

形態 仕組み 最適な状況
輸出のみ(インド国内販売業者経由) 日本企業は、インドにおいて輸入ライセンスを保有する独立した販売代理店(正規代理店)に対して製品を販売する。当該代理店が在庫を保有し、インド国内で販売およびサービス提供を行う。 初期段階の市場テスト、少量かつ高単価の資本設備の取引、現地拠点の設立がまだ商業的に正当化されない場合、ならびに資本投下に先立って需要を検証する場合。
駐在員事務所(LO インド準備銀行(RBI)の承認に基づき設立される代表事務所であり、市場調査、プロモーションおよび連絡業務のみを行うことができ、商業活動や収益の創出は認められていない。 規制動向のモニタリング、関係構築および市場情報の収集。収益創出や商業契約の締結は想定されない。
完全子会社(WOS 2013年会社法(Companies Act, 2013 )に基づきインドで設立される非公開有限責任会社であり、日本の親会社が100%出資する形態となる。インド国内において販売、輸入、組立、製造、請求書発行および契約締結を行うことができる。 取引規模が現地拠点の設立を正当化する場合、入札への参加が重要な場合、およびアフターサービスが重要となる場合に適している。長期的な目的に最も適した形態である。
インド企業との合弁会社(JV 日本企業とインドのパートナーが共同で出資する非公開有限責任会社であり、現地での製造、流通、規制当局との関係構築および政府機関へのアクセスを担う形態となる。 現地での製造または組立が計画されている場合、政府系病院市場への参入に現地での実績や資格が求められる場合、および技術移転が戦略の一部となっている場合に適している。

Q13. 日本企業はインドにおいて、どのように完全子会社(WOS)を設立しますか。主な手続きおよび要件は何ですか?

外国法人の完子会社(WOS)としてインドで非公開会社(Private Limited Company)を設立するには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 商号予約:提案する会社名を企業省(Ministry of Corporate Affairs)のポータルサイトで申請します。当該名称は、2013年会社法(Companies Act, 2013)およびその関連規則である2014年会社(設立)規則[Companies (Incorporation) Rules, 2014]に定められた命名規則に適合している必要があります。
  2. デジタル署名証明書(DSC):すべての就任予定取締役は、必要書類に電子署名を付すため、認証局(Certifying Authority)からDSCを取得する必要があります。
  3. 取締役識別番号(DIN):各取締役はDINを取得している必要があり、会社設立時に当該番号の申請を行います。
  4. 設立申請(SPICe+ Form):MCAポータル上で統合様式であるSPICe+ Form を提出し、定款(MoA)、付属定款(AoA)、および引受人(subscriber)と取締役の詳細を添付する。設立が完了すると、設立証明書(Certificate of Incorporation)が交付されます。
  5. (該当する場合)FDI承認: 医療機器分野においては、100%の外国直接投資(FDI)が自動ルート(automatic route)により認められており、事前の政府承認は不要です。なお、当該投資は、資金受領後30日以内にFIRMSポータルを通じてインド準備銀行(RBI)へ報告しなければなりません。
  6. PANおよびTAN:所得税局(Income Tax Department)から付与される永久口座番号(PAN)および源泉徴収・徴収口座番号(TAN)は、会社設立時に自動的に取得され、設立証明書に記載されます。
  7. 物品・サービス税(GST)登録: 課税対象となる取引を開始する前に、GSTポータルにおいてGST登録を行う必要があります。
  8. 輸出入コード(IEC):輸出入を行うすべての事業者は、インド貿易総局(Directorate General of Foreign Trade:DGFT)から輸出入コード(IEC)を取得することが義務付けられています。
  9. 2017年医療機器規則(MDR 2017)に基づく体制整備:インドの完全子会社(WOS)は、正規代理人として機能するか、または規制対応業務を行う専門会社を任命し、Q4に定める所定の手続に従い、WOS名義で新たに輸入ライセンスを取得することになります。

その他、考慮すべき要素は以下のとおりです。

Q14. 合弁会社(JV)とはどのような形態であり、どういった場合に完全子会社(WOS)よりも適しているのでしょうか?

インドにおける合弁会社(JV)は、通常、非公開会社[場合によっては有限責任パートナーシップ(LLP)として]構成され、日本企業と1社以上のインド企業が共同で保有する形態です。JVは以下のような場合に適しています。

  • 製造または組立:インドにおける製造パートナーが現地の規制承認、既存の製造インフラおよび労働力を有する場合には、製品連動型インセンティブ制度(PLIスキーム)などの政府インセンティブ、州レベルの優遇措置、ならびに調達上の優遇がより強化されます。
  • 販売網: 強固なインドの販売パートナーは、確立された病院ネットワーク、規制当局との関係、ならびに地理的カバレッジを有しており、これらは現地子会社(WOS)が構築するには数年を要する場合があります。
  • 政府との関係:一部の政府調達における優遇措置および医療機器パーク(Medical Device Park)の割当へのアクセスは、インド側の共同出資者を有する場合のほうが取得しやすくなります。
  • 技術移転:日本企業は合弁会社(JV)に対して技術を移転し、インド側パートナーは製造、土地提供、現地規制当局の承認取得、および販売網の構築を担う場合があります。

主な合弁(JV)ストラクチャリング(組成)に関する考慮事項:

  • 持株比率:JV契約では、日本企業の持株比率(通常、経営権を確保するため51~74%)およびインド側パートナーの出資内容(現金、土地、ライセンス、販売網など)を明確に定めます。
  • 取締役会の構成:取締役会の議席配分、定足数、ならびに特別多数または全会一致を要する保留事項(例:知的財産の移転、主要人事の任命、事業計画の変更など)を明確に定めます。
  • IP保護:合弁契約では、知的財産(IP)がライセンスされるのか譲渡されるのかの区別、ロイヤルティの支払条件、利用形態、および契約終了後の権利について明確に定めます。
  • 競業避止およびロックイン条項:インド側パートナーによるノウハウの不正利用を防止するために重要です。
  • エグジット・メカニズム:タグアロング権(Tag-along)、ドラッグアロング権(Drag-along)、プット/コール・オプション、優先買取権(Right of First Refusal)および優先交渉権(Right of First Offer)といった条項は、デッドロックやエグジット局面の管理において極めて重要です。

Q15. 駐在員事務所(LO)とはどのようなものであり、どのような場合に適切な形態ですか?

駐在員事務所(代表事務所とも呼ばれる)は、限定的な目的に基づく拠点であり、外国企業がインド国内で許可された特定の活動のみを行うための物理的拠点を維持することが認められる一方、収益を生み出すことやインド国内で商業活動を行うことは認められていません。

  • 許可される活動:市場調査、親会社製品・サービスのプロモーション、親会社とインド顧客との間の連絡窓口としての機能、情報収集ならびに技術的・財務的連携の促進。
  • 禁止事項:自己名義での商業契約の締結、請求書の発行、収益の収受、自己名義での商品輸入ならびに製造。
  • 申請手続き:LOの設立に関する外国企業からの申請は、インド準備銀行(RBI)のガイドラインに基づき、カテゴリーI認定ディーラー銀行によって審査されます。駐在員事務所の有効期間は通常3年で、延長される場合があります。
  • 年次コンプライアンス:年次活動証明書(Annual Activity Certificate:AAC)を認可ディーラーバンクに提出し、あわせてニューデリーの所得税総局(国際課税)[Directorate General of Income Tax(International Taxation)]にも写しを提出する必要があります。
  • 資金調達:LOの運営資金はすべて外国親会社からの送金によって賄われ、インド国内で収益を上げることは認められていません。

LOは、対面での関係構築、学会・展示会への参加、中央医薬品標準管理機構(CDSCO)に関する規制対応の支援、および市場情報の収集を目的とする日本の医療機器企業に適しています。完全な商業体制の構築は前提としていません。LOは、完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)設立に先立つ移行段階として位置付けられることが多いです。

Q16. 日本の医療機器メーカーのインドの完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)に適用される主要な直接税にはどのようなものがありますか?

インド法人[完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)]に適用される主な直接税は、2025年所得税法(Income-tax Act, 2025:ITA 2025)に基づいて課される法人所得税です。ITA 2025は、従来の1961年所得税法(Income-tax Act, 1961:ITA 1961)に代わる法律です。

税目 税率[2026-27年度(評価年度/課税年度)] 備考
法人所得税 ― 国内法人 ― 軽減税制 22%+10%のサーチャージ(surcharge)+4%のセス(cess:健康・教育目的税)=実効税率25.17% 2025年所得税法(ITA 2025)第200条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第115BAA条]に基づく制度。一定の損金算入・税額控除等の適用を放棄することを条件とする選択制の軽減税率制度である。
法人所得税 ― 新設製造会社[2025年所得税法(ITA 2025)第201条][旧1961年所得税法(ITA 1961)第115BAB条] 15%+サーチャージ(surcharge)+セス(cess:健康・教育目的税)








※15%の税率は製造事業から生じる所得にのみ適用される。
2019年10月1日以降に設立され、所定の期日までに製造を開始する新設会社に適用される制度であり、一定の損金算入・税額控除等を放棄することを条件とする選択制の軽減税率制度。


※本条における「所定の期日」は2024年3月31日とする。
標準法人税率(軽減税率制度を選択しない法人) 30%+サーチャージ(surcharge)+セス(cess:健康・教育目的税) 新設会社は、2025年所得税法(ITA 2025)第200条/第201条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第115BAA条/第115BAB条]に基づく軽減税率制度を選択する傾向がある。
最低代替税(MAT) 帳簿利益の14%+サーチャージ(surcharge)+セス(cess:健康・教育目的税) 当該会社が2025年所得税法(ITA 2025)第200条/第201条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第115BAA条/第115BAB条]の適用を選択する場合、MATは適用されない。
配当分配税(DDT) 廃止(2020年財政法) 配当は現在、株主の手元で課税される。
キャピタルゲイン税[2024年財政法(Finance Act 2024)改正による更新、2024年7月23日施行] 長期譲渡所得(LTCG、上場株式):12.5%[125,000インドルピー(約1,323米ドル)を超える譲渡益に課税] 長期譲渡所得(LTCG、非上場株式):12.5%(インデクセーション適用なし) 短期譲渡所得(STCG):上場株式:20%/非上場株式:累進税率(スラブレート) ※上記税率にくわえ、サーチャージ(surcharge)およびセス(cess:健康・教育目的税)が適用される。

インドの完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)から日本の親会社が受領する所得の課税上の取扱い

以下の表は、外国企業がインドの完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)から受領する主要な所得区分について、適用される税率および源泉徴収義務を整理したものです。

所得区分 適用税率 課税・源泉徴収(TDS
配当/ロイヤルティ/技術役務提供対価(FTS)/外貨借入利息 20% +サーチャージ(surcharge)+セス(cess:健康・教育目的税) 2025年所得税法(ITA 2025)第207条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第115A条]に基づく。 当該所得は、外国法人において本表に定める税率、または関連する租税条約(DTAA)に基づき適用されるより低い税率で課税される(Q18参照)。

インド側のJV/WOSは、当該所得の発生時または支払時のいずれか早い時点において、上記税率に基づき源泉徴収(TDS)を行う。
インドのWOS/JV株式の譲渡によるキャピタルゲイン 長期譲渡所得(LTCG、上場株式):12.5%[125,000インドルピー(約1,323米ドル)を超える譲渡益に課税]

長期譲渡所得(LTCG、非上場株式):12.5%(インデクセーション適用なし)

短期譲渡所得(STCG):上場株式:20%/非上場株式:累進税率(スラブレート)

※上記にくわえ、サーチャージおよびセスが適用される。
当該所得は、外国法人において本表に定める税率、または関連する租税条約(DTAA)に基づき適用されるより低い税率で課税される(Q18参照)。

インド側のJV/WOSは、当該所得の発生時または支払時のいずれか早い時点において、上記税率に基づき源泉徴収(TDS)を行う。
  • 源泉徴収(Tax Deduction at Source:TDS):インド企業は、居住者および非居住者への支払時において源泉徴収を行う義務を負います。医療機器事業に適用される主なTDS税率は以下のとおりです。専門役務報酬(10%)、賃借料(2%または10%、取引形態により異なる)、給与(所得税率・累進課税)、非居住者への支払[税率は取引内容により異なり、租税条約(DTAA)の適用対象となる]。
  • 物品・サービス税(GST):WOS/JVは顧客からGSTを徴収し、政府に納付します。なお、売上高が所定の基準額を超える場合には、GST登録が義務付けられます(Q11参照)。
  • 移転価格税制(Transfer Pricing):インドの完全子会社(WOS)/合弁会社(JV)と日本の親会社との間で行われるすべての取引(製品の輸入、経営管理報酬、ロイヤルティ、貸付など)は、「独立当事者間取引価格(arm’s length)」で行われなければならず、インド所得税法(ITA 2025)第161〜173条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第92条〜92F]に基づく移転価格税制の適用対象となります。本分野は重要なコンプライアンス項目です(Q19参照)。

SECTION E — 移転価格、二重課税防止条約およびクロスボーダー取引

Q17. 「恒久的施設(PE)」リスクとは何ですか。日本企業はなぜ慎重に管理しなければならないのでしょうか?

恒久的施設(Permanent Establishment:PE)とは、国際税法およびインドの二重課税防止条約(DTAA)における概念であり、外国企業がインド国内に法人を設立していない場合であっても、インドにおいて事業利益に課税されるための十分な拠点を有することを意味します。

PEリスクは、日本の医療機器メーカーにおいて、以下のような一般的な状況で生じます。

  • 固定的施設PE(Fixed Place PE):日本企業の従業員などが、インド国内の固定的な場所(例:オフィス、倉庫、または顧客の事業所など)から、継続的かつ反復的に業務を行っている場合、非公式な形態であっても、日本企業にPEが認定される可能性があります。この場合、インド源泉所得に係る利益ついて、インドにおいて通常の法人税率により課税される可能性があります。
  • 代理人PE(Agency PE):インドの販売代理店または代理人が、日本企業に対して「従属的」である場合(例:日本企業のために専属的または主として業務を行っている場合、日本企業を代理して契約を締結する権限を有している場合など)、日本企業にインドにおける代理人PEが認定される可能性があります。
  • 駐在員事務所PE(Liaison Office PE):[日本企業がWOSまたはJV設立前に駐在員事務所(LO)を設置する場合]:駐在員事務所の従業員などが許可された活動(市場調査)を超えて業務を行い、契約の締結や親会社を拘束する意思決定を行う場合、当該駐在員事務所はPEと認定されることになります。

2025年所得税法(ITA 2025)第9条第9項[旧1961年所得税法(ITA 1961)第9条第1項(i)の説明2A]における重要な発展として、「顕著な経済的存在(Significant Economic Presence:SEP)」が「事業関連性(business connection)」の一形態として明文化されています。
非居住者は、SEPに該当する場合、インドにおける事業関連性を有するものとみなされます。具体的には以下の場合です。
(a)インドにおける商品・役務・資産に関する取引額が2,000万インドルピー(約211,712米ドル)を超える場合または
(b)インドのユーザーに対して、体系的かつ継続的に事業活動の勧誘または関与を行っている場合
なお、SEPは国内法上の概念ですが、適用される租税条約(DTAA)により軽減措置が適用される場合があり、かつ当該条約に対応するネクサス規定が含まれていない場合には、当該条約が優先される可能性があります。

PEエクスポージャー(PE exposure):PEが存在すると認定された場合、インドは当該PEに帰属する利益に対して通常の法人税率で課税します。これにより、日本においても同一所得が課税される二重課税リスクが生じるほか、適切に事前対応がなされていない場合には、追加的なコンプライアンス義務、利息およびペナルティが発生する可能性があります。
近年、インド税務当局はPE帰属について積極的な姿勢を強めています。単に従属的な販売代理店に交渉および契約締結を行わせるだけでも、PEリスクが生じる可能性があります。.

Q18. インドと日本との間に二重課税防止条約(DTAA)は存在しますか。また、それはどのような恩恵がありますか?

インドは日本との間で二重課税防止条約(DTAA)を締結しています。インド・日本租税条約に基づく主な規定は以下のとおりです。

  • 配当に対する源泉徴収税の軽減:日印租税条約(DTAA)に基づき、インド子会社から日本親会社に支払われる配当は、源泉徴収税率が10%に軽減されます(国内法上の標準税率20%と比較)。
  • ロイヤルティおよび技術役務提供料(FTS)に対する源泉徴収税の軽減:日印租税条約(DTAA)に基づき、インド法人から日本親会社に支払われるロイヤルティおよび技術役務提供料は、源泉徴収税率が10%に軽減されます(国内法上の標準税率20%と比較)。ロイヤルティには、知的財産(IP)ライセンス料、ソフトウェアライセンス料、および技術ノウハウの提供対価が含まれる場合があります。
  • 利息に対する源泉徴収税の軽減:日印租税条約(DTAA)に基づき、日本親会社からインド子会社への貸付金に係る利息は、源泉領収税が10%に軽減されます(外国法人に対する国内法上の標準税率20%と比較)。
  • 恒久的施設(PE)保護:DTAAはPEが成立する条件を定めており、PEが存在しない場合にはインドの課税権を制限することで法的安定性を提供します。
  • キャピタルゲイン(譲渡益):DTAAは、将来的なエグジット時におけるインド法人株式の譲渡に係るキャピタルゲイン課税についても取扱いを定めています。

インドにおける条約上の特典を享受するための主なコンプライアンス要件:

DTAAの恩典は自動的に適用されるものではありません。日本企業は、自国の税務当局から税務居住者証明書(TRC)を取得し、インドにおいてForm 41(旧Form 10F)を提出するとともに、恒久的施設(PE)が存在しない旨の申告を行い、DTAAの恩典適用に必要な実質要件を満たす必要があります。

Form 41は、インドの所得税電子申告ポータルにおいて毎年提出する必要があります。インドにおいて永久口座番号(Permanent Account Number:PAN)を保有しない非居住者は、インド源泉所得に対してより高い源泉徴収税率が適用されます。そのため、インドからロイヤルティ、技術サービス料、配当等の所得を継続的に受領する日本企業は、PANを取得し、Form 41のコンプライアンスを毎年維持することが強く推奨されます。

Q19. インドの移転価格税制とは何ですか。また、日本企業のインド子会社にどのような影響がありますか?

移転価格(Transfer Pricing:TP)とは、関連当事者(例:日本の親会社とインド子会社)間で行われる取引価格の設定に関するルールを指します。
インドでは、2025年所得税法(ITA 2025)第161条~第173条[旧1961年所得税法(ITA 1961)第92条~第92F条]に基づき、関連企業(Associated Enterprises)間で行われるすべての「国際取引(International Transactions)」について、「独立企業間価格(Arm’s Length Price)」に基づいて取引価格を設定することが求められています。
この制度は、関連会社間で市場価格から乖離した価格設定を行うことにより、利益を低税率国・地域へ不当に移転して税負担を軽減することを防止し、適正かつ公平な課税を確保することを目的としています。

医療機器または医療器具会社の場合、以下に例示する日本の親会社とインドの完全子会社(WOS)または合弁会社(JV)との間の取引は、移転価格税制の適用対象となります。

  • インド国内での再販売を目的とした、日本の親会社からの医療機器・器具の仕入れ(最も一般的かつ重要性の高い取引)。
  • 知的財産(IP)、商標、ソフトウェアの使用に対して、日本の親会社へ支払われるロイヤルティまたはライセンス料。
  • シェアードサービス(財務、人事、IT、法務)に対して、日本の親会社へ支払われるマネジメントフィーまたはサービスフィー。
  • 日本の親会社からの融資(利率は独立企業間価格に基づいて設定されなければならない)。
  • 研究開発(R&D)費用の精算(リインバースメント)。

コンプライアンス要件には以下が含まれます。

  • Form 48(旧Form 3CEB): 納税者は、課税年度中に関連企業との国際取引を行った場合、その取引金額の大小にかかわらずForm 48の提出が必要です。また、独立した公認会計士(Chartered Accountant)によって証明された報告書の取得および提出が義務付けられており、当該報告書には各国際取引の内容、金額および独立企業間価格(Arm’s Length Price)が記載されます。
  • TP文書(ローカルファイル):ローカルファイルは、国際取引の総額が1,000万インドルピー(約105,853米ドル)を超える場合に作成が必要です。
    納税者は、コンテンポラネアス(同時文書)として、インド法人の機能・資産・リスク分析の詳細、および最適な移転価格算定方法(独立企業間価格算定方法)の選定とその妥当性の説明を含む文書を作成・保管する必要があります。移転価格算定方法には、独立価格比準法(Comparable Uncontrolled Price:CUP)、取引単位営業利益法(Transactional Net Margin Method:TNMM)、再販売価格基準法(Resale Price Method:RPM)、原価基準法(Cost Plus Method:CPM)、利益分割法(Profit Split Method:PSM)などがあります。
    また、当該文書には、取引が独立企業間価格に基づいていることを裏付けるベンチマーキング分析も含まれます。
  • マスターファイル(Master File):マスターファイルの作成義務は、以下の要件がすべて同時に満たされる場合に生じます。

移転価格は、多国籍企業にとってインドの直接税分野において最も紛争件数の多い領域です。インドの税務当局(Revenue Authority)は移転価格に特化した監査プログラムを実施しており、数千万ルピーから数億ルピー規模の追徴課税が行われることも珍しくありません。
日本の親会社から標準価格(list prices)で医療機器を受領しているインド子会社が、移転価格分析(TP study)を文書化していない場合、事業開始初年度から監査リスクに著しく晒される可能性があります。

移転価格に関する紛争リスクを低減するために利用可能な確実性メカニズムは以下のとおりです。

  • セーフハーバー規則[2025年所得税法(ITA 2025)第167条、1961年所得税法(ITA 1961)第92CB条]:セーフハーバー規定の下では、一定の適格取引(IT/ITESサービス、R&Dサービス、グループ内融資、コーポレート・ギャランティなど)について、所定のベンチマークに基づく営業利益率または料率の範囲内であれば、独立企業間価格(Arm’s Length)が自動的に認められます。
    例えば、ITサービス取引については、当該取引に係る年間営業収益の総額がINR 200億インドルピー(約2億1,170万米ドル)を超えないことを条件として、営業費用に対して最低15.5%の営業利益率が求められます。
    セーフハーバーの選択により移転価格調査官(TPO)の審査を回避できるため、日本の親会社向けにバックオフィス業務、営業支援、ITサービス等を提供するインド子会社にとって特に有用です。
  • 事前価格合意(Advance Pricing Agreements:APAs)[2025年所得税法(ITA 2025)第168条および第169条、1961年所得税法(ITA 1961)第92CC条および第92CD条]:APAsは、独立企業間価格(Arm’s length price)または移転価格算定方法について、最大5年間の将来期間にわたり法的拘束力のある確実性を提供する制度です(また、二国間APAのロールバック規定に基づき、最大4年間の過去期間にも適用される場合がある)。
    日本企業において、グループ内で継続的かつ重要な取引(ライセンス取引、マネジメントフィー、調達、医療機器の供給)がある場合には、日印両国の税務当局間で締結される二国間APA(Bilateral APA)が最も高い確実性を提供する手段であり、強く推奨されます。

SECTION F — インドにおける貿易(輸入販売)と組立・製造の選択基準

Q20. インドで医療機器および医療器具の製造または組立を選択する日本企業には、どのような政府インセンティブ制度がありますか?

インド政府は、医療機器製造分野への外国投資を誘致するため、包括的なインセンティブ制度を構築しています。主な制度には以下が含まれます。

制度名 主なメリット 適格要件/備考
医療機器分野向け生産連動型奨励制度(PLIスキーム) 国内製造された医療機器の増分売上に対し、5年間(FY2022–23~FY2026–27)にわたり最大5%の財政インセンティブを付与。総予算:342億インドルピー(約3億6,200万米ドル)。 画像診断機器(MRI、CT、マンモグラフィー、Cアーム、X線)、放射線治療機器、麻酔機器、循環・呼吸器関連機器、インプラント。
新規製造会社向け法人税免除措置[2025年所得税法(ITA 2025)第201条/旧1961年所得税法(ITA 1961)第115BAB条] 製造事業からの所得に対して15%の法人税率にくわえ、サーチャージ(surcharge)およびセス(cess:健康・教育目的税)が適用される。 2019年10月1日以降に設立され、2024年3月31日までに製造を開始した国内法人が対象。日本企業がこの期間内にインド製造子会社を設立している場合、適格性および条件の永続的な遵守を確認する必要がある。
100% FDI(自動承認ルート) 政府の事前承認なしで、医療機器製造分野への100%外資出資が可能。 2020年統合FDI政策により明確に許容されている。最もシンプルな参入ルートである。
医療機器パーク(MDP)制度 試験施設、クリーンルーム、倉庫、ユーティリティなどの共用インフラを補助により整備。小規模メーカーにおける初期設備投資(CAPEX)の削減が可能。 タミル・ナードゥ州、グレーター・ノイダ、マディヤ・プラデーシュ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州などに設置。

各州の実施機関を通じて運用されている。
医療機器産業強化制度 総額50億インドルピー(約5,300万米ドル)。主要部品の製造支援、人材育成、臨床試験支援、共通インフラ整備などを含む[FY2026–27まで3年間の初期支出(initial outlay)]。 PLIでカバーされない技術的ギャップを補完。

インド医薬品局(Department of Pharmaceuticals)への申請が必要。
国内製造推進(Make in India)— 政府調達優遇[公共調達令(Public Procurement Order)、2017年(随時改正)] インド「国内製造企業(local suppliers)」は、公共入札において、輸入製品に対して購入優先(通常約20%の価格優遇)を受けることができる。ただし、最低現地調達比率の要件を満たし、かつ当該優先措置が入札書類に明記されていることが条件となる。 中央政府および州政府のすべての調達に適用される。
インドで製造を行う日本企業は、市場アクセス上の優位性を得ることができ、インド製医療機器は政府病院の調達、CGHS(中央政府医療制度)入札、および州の医療制度における調達において優遇対象となる。
州レベルの奨励制度 資本補助、優遇価格での土地供与、電力料金の優遇、SGST(州物品・サービス税)の免除/還付、雇用創出インセンティブ。 州ごとに異なる。

タミル・ナードゥ州、アンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、グジャラート州、マハラシュトラ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州などでは、MedTech分野の投資インセンティブ制度が積極的に整備されている。

Q21. インドにおいて製造事業体が遵守すべき主要な法務・労務・コンプライアンス義務のうち、通常トレーディング事業体には適用されないものは何ですか?

インドで製造業へ移行すると、規制およびコンプライアンス負担は大幅に増加します。主な追加義務は以下のとおりです。

  • CDSCO製造ライセンス:国内製造業者は個別の申請が必要となります。製造施設はCDSCOによる査察の対象となり、適正製造基準(Good Manufacturing Practice)の遵守が求められます。
  • BISライセンス:製造される医療機器がBIS(インド規格局)の品質管理命令(Quality Control Order)の対象となる場合、当該製造施設についてBISライセンスの取得が必要となります。
  • 労働法コンプライアンス:インドでは2025年11月21日に4つの労働法典(Labour Codes)が施行され、従来の29の中央労働法が統合されました。
    これらの労働法典に基づく主な義務には、最低賃金、従業員積立基金(EPF)、従業員国家保険(ESI)、退職手当(gratuity)、労働条件、労働時間、出産給付、就業規則(standing orders)の枠組みなどが含まれます。ただし、労働法コンプライアンスは、インドで事業を行い従業員を雇用するすべての事業体に適用される点に留意する必要があります。
  • 環境許認可:一部の製造施設では、環境影響評価(EIA)および州公害管理委員会(SPCB)からの承認が必要となる場合があります。
    これは、1986年環境保護法(Environment Protection Act, 1986)、1974年水質(汚濁防止)法{Water (Prevention and Control of Pollution) Act, 1974]、および1981年大気汚染(防止・管理)法{Air (Prevention and Control of Pollution) Act, 1981]に基づいて求められます。

Q22. 輸出促進資本財(EPCG)スキームとは何ですか。また、インドにおける医療機器製造業者にどのような恩恵をもたらしますか?

輸出促進資本財(EPCG)スキームは、外国貿易政策の下で対外貿易総局(DGFT)が運営する制度であり、インドの製造業者が資本財(機械、設備、工具)を無関税で輸入できる一方、当該資本財を使用して製造した商品またはサービスについて、一定額の輸出義務を負う仕組みです。

医療機器向け生産連動型奨励制度[PLI(Production Linked Incentive)スキーム]は、インド医薬品局(Department of Pharmaceuticals)が2020年7月に導入した制度であり、総予算は342億インドルピー(約3億6,200万米ドル)です。
本制度は、インドの当該分野における70~80%の輸入依存を是正することを目的として、国内で製造された医療機器の増分売上に対して5年間(FY2022–23~FY2026–27)にわたり5%の現金インセンティブを付与します。
対象は、以下の4つの高付加価値かつ輸入依存度の高い分野です。

本制度はグリーンフィールド(新規)プロジェクトに限定されており、2つの区分で運用されています。
|(i)大規模メーカー向けのカテゴリーA(インセンティブ上限:12.1億インドルピー〔約1,266万米ドル〕)、およびMSME向けのカテゴリーB(上限:4億インドルピー〔約420万米ドル〕)であり、IFCIがプロジェクト管理機関(Project Management Agency)として運営を担っています。

2025年12月時点で、22件のグリーンフィールド工場が稼働を開始しており、MRI、CT、リニアック(直線加速器)を含む55種類以上の医療機器で生産が開始されています。また、インセンティブとして15.7億インドルピー(約1,640万米ドル)が支給されています。本スキームの新規申請は2027年3月に終了予定です。

PLIスキームはインド国内での製造を促進するために設計されているため、インドへ輸出を行う外国企業が直接これを申請・受給することはできません。
しかし、本スキームは外資比率や技術の出所を制限するものではなく、申請者がインドに登録された事業体であり、インド国内で生産を行っていることのみを要件としています。このため、共同事業(コラボレーション)モデルの活用が可能です。さらに、医療機器製造分野では100%FDIが自動承認ルートで認められており(政府の事前承認は不要であり、非競争義務の制限もない)、ストラクチャリングの選択肢は広範に認められています。

SECTION G — 主要リスク、よくある誤りおよび実務上の留意点

Q23. 日本の医療機器企業が本FAQを読んだ後に取るべき直近のステップは何ですか?

インドへの輸出を開始しようとする日本企業は、以下の具体的な対応を直ちに開始すべきです。

  1. インドの薬事(regulatory affairs)コンサルティング会社/CDSCO認定代理人の任命:認定代理人を任命する際の最も重要な最初のステップです。CDSCOとの関係性、インドへ輸出される製品分野に関する経験、ならびに顧客実績を評価することが重要です。
  2. HSNコードの分類・関税マッピングの委託:インドの認可を受けた通関業者(Customs House Agent)に委託し、自社製品ポートフォリオをインドのHSNコードに分類し、あわせて関税負担を算出します。
  3. インドの法務顧問への企業ストラクチャーに関する指示:インドのコーポレート法務事務所を起用し、完全子会社(WOS)、駐在員事務所(LO)、合弁会社(JV)のいずれを選択すべきか、FDI規制、および会社設立要件について助言を受けます。
  4. 移転価格および租税条約(DTAA)に関してインドの税務アドバイザーを起用:初期段階から適切にインターカンパニー取引を設計するため、早期に税務ファームを選定し、取引スキームを構築します。
  5. BIS品質管理命令(Quality Control Orders)の確認:自社製品がBISの強制認証対象に該当するかを確認する必要があります。これは二者択一の必須要件であり、非遵守の場合、輸入は完全に停止されます。
  6. 各製品についてCDSCO分類を特定:日本の製品カテゴリをインドの分類に対応付け、必要に応じて正式な分類確認を行います。
  7. PLIスキーム適格性評価:自社製品がPLIの対象カテゴリーに該当し、インドでの製造を検討している場合は、制度の申請期間が終了または変更される可能性があるため、早期に申請を行うことが推奨されます。
  8. インド国内の医療機器ディストリビューターに対するデューデリジェンスを開始:関連する病院ネットワークを有するインドの医療機器ディストリビューター3~5社を特定し、契約締結前に厳格に評価することが推奨されます。

主要用語集

用語・略語 意味
APA(事前確認価格合意) 事前確認価格合意(Advance Pricing Agreement)— 特定の取引における移転価格算定方法について、納税者とインド税務当局(CBDT)との間で締結される拘束力のある合意。
AERB(原子力規制委員会) 原子力規制委員会(Atomic Energy Regulatory Board)— 医療用X線装置や核医学機器を含む放射線源の使用を規制する機関。
BCD(基本関税) 基本関税(Basic Customs Duty)— インドに輸入される物品に課される基本的な輸入関税。
BIS / QCO(インド規格局/品質管理令) インド規格局(Bureau of Indian Standards)/ 品質管理令(Quality Control Order)— BISはインドの国家規格を策定する機関。QCOは、対象製品について輸入または国内販売を行う前に、BIS認証の取得を義務付ける制度。
CDSCO(中央医薬品標準管理機構) 中央医薬品標準管理機構(Central Drugs Standard Control Organisation)— インドにおける医薬品および医療機器に関する国家規制当局。
DCA(医薬品・化粧品法) 1940年医薬品・化粧品法(Drugs and Cosmetics Act, 1940)— インドにおける医薬品、化粧品、および医療機器を規制する基本法。
DGFT(対外貿易総局) 対外貿易総局(Directorate General of Foreign Trade)— インドの貿易政策(Foreign Trade Policy)を所管し、EPCG、事前承認(Advance Authorisation)、輸出入者コード(IEC)などを運用・管理する機関。
DTAA(租税条約) 二重課税防止条約(Double Taxation Avoidance Agreement)— インドと他国との間で締結される二国間租税条約であり、同一の所得に対して二重に課税されることを防止するための枠組み。
EPCG(輸出促進資本財制度) 輸出促進資本財制度(Export Promotion Capital Goods Scheme)— 輸出義務を条件として、資本財の関税免除輸入を認める制度。
FEMA(外国為替管理法) 1999年外国為替管理法(Foreign Exchange Management Act, 1999)— インドにおける国境を超える取引、外国直接投資(FDI)、および外貨の流れを規制する法律。
FDI(外国直接投資) 外国直接投資(Foreign Direct Investment)— 外国企業または外国投資家によるインド企業・事業への直接投資。
FSC(自由販売証明書) 自由販売証明書(Free Sale Certificate)— 製造国の所管当局が発行する証明書であり、当該医療機器がその国において適法に販売されていることを証明する文書。
GST / IGST(物品・サービス税/統合物品・サービス税) 物品・サービス税(Goods and Services Tax)— インドにおける統一間接税制度。IGST(Integrated Goods and Services Tax)は、輸入品および州間取引に課される形態のGST。
HSN / HSコード(統一システム品目分類) 統一システム品目分類(Harmonised System of Nomenclature)— 関税およびGSTの適用のために使用される国際的な分類システム。
IEC(輸出入者コード) 輸出入者コード(Importer–Exporter Code)— インドで輸出入を行うすべての事業体に義務付けられる登録番号であり、対外貿易総局(DGFT)により発行される。
IMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム) 国際医療機器規制当局フォーラム(International Medical Device Regulators Forum)— 医療機器規制の国際的な調和を目的として設立された、規制当局による任意の協力枠組み。
ITC(仕入税額控除) 仕入税額控除(Input Tax Credit)— GST登録事業体が仕入れ時に支払ったGSTを、売上時に受領したGSTと相殺できる制度。
IVD(体外診断用医療機器) 体外診断用医療機器(In-Vitro Diagnostic device)— 血液、尿、組織などの検体を用いて、人体の外で検査を行う医療機器。
LO(駐在員事務所) 駐在員事務所(Liaison Office)— インドにおける外国企業の限定的な拠点であり、特定の非営利活動のみが許可される代表事務所。
MDR 2017(2017年医療機器規則) 2017年医療機器規則(Medical Devices Rules, 2017)— インドにおける医療機器を規律する主要な独立規制。
NPPA(国家製薬価格庁) 国家製薬価格庁(National Pharmaceutical Pricing Authority)— 指定医薬品および一部の通知対象医療機器の価格上限(統制価格)を規制する機関。
PE(恒久的施設) 恒久的施設(Permanent Establishment)— 外国企業がインドにおいて課税対象となる事業拠点を有していると認定されるための税務上の概念であり、源泉所得に対する課税関係を決定する基準。
PLIスキーム(生産連動型奨励制度) 生産連動型奨励制度(Production Linked Incentive Scheme)— 医療機器を含む特定分野において、国内製造の増分に対して財務的インセンティブを付与する制度。
SaMD(医療機器としてのソフトウェア) 医療機器としてのソフトウェア(Software as a Medical Device)— 医療目的を単独で実現するソフトウェアであり、2017年医療機器規則(MDR 2017)の下で医療機器として規制される。
SLA(州ライセンス当局) 州ライセンス当局(State Licensing Authority)— クラスAおよびクラスBの医療機器に対する製造ライセンスの発行を担当する州レベルの薬事規制当局。
TDS(源泉徴収税) 源泉徴収税(Tax Deducted at Source)— 支払者が受取人への支払いを行う前に、一定の税額を差し引いて納付するインドの源泉徴収制度。
TP(移転価格) 移転価格(Transfer Pricing)— 関連当事者間(欧州の親会社とインド子会社等)の取引価格を規律するルール。
FDI(外国直接投資) 外国直接投資(Foreign Direct Investment)— 外国企業または外国投資家によるインド企業・事業への直接投資。
TRC(居住者証明書) 居住者証明書(Tax Residency Certificate)—本国の税務当局が発行する証明書であり、企業または個人の税務上の居住地を証明する文書。DTAAの適用を受けるために必要とされる。
UDI(医療機器固有識別子) 医療機器固有識別子(Unique Device Identifier)— 各医療機器製品に付与される固有の数字または英数字コードであり、2017年医療機器規則(MDR 2017)に基づきトレーサビリティ確保のために義務付けられる。
WOS(完全子会社) 完全子会社(Wholly Owned Subsidiary)— 外国親会社が100%出資するインドの非公開会社であり、2013年会社法(Companies Act, 2013)に基づき設立される。

通貨に関する注記
本FAQに記載されているすべてのインドルピー(INR)金額には、括弧内に米ドル(USD)の概算換算額を併記しています。換算は、2026年6月24日時点のインド準備銀行(RBI)参考レート(1米ドル=₹94.48)を用いて行っています。

 

The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.

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