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近年、中国は知的財産保護システムの改革を持続的に深化させ、全ての市場主体に対し、安定・公平・透明・予見可能なビジネス環境の整備に取り組んでいます。商標はブランドの信用と市場認における認知の中核的な担い手として、その合法かつ規範的な使用は、競争秩序の維持と消費者権益の保護にとって極めて重要です。
このような背景の下、中国国家知識財産権局事務室は2025年11月17日、「商標使用管理の強化に関する通知」(国知办函保字〔2025〕916号)を公布しました。本通知は関連法律法規の着実な実施を図り、商標使用行為に対する監督管理と指導を強化するものであり、中国における商標分野のガバナンスがより精緻化・厳格化された方向へ進んでいることを示しています。多くの日本企業が長年にわたり中国市場で事業を展開し、数多くの著名ブランドと登録商標を保有されていることから、今回の政策の内容と今後の動向について、皆様にご紹介と分析を行います。
まず、今回の「通知」の内容をご紹介いたします。
国家知的財産局事務室による商標使用管理の強化に関する通知
国知办函保字〔2025〕916号
各省、自治区、直轄市及び新疆生産建設兵団知的財産局:
党中央、国務院の知的財産保護業務の全面的強化に関する決定と配置を真摯に貫徹し、『中華人民共和国商標法』、『中華人民共和国商標法実施条例』等の法令法規の規定に基づき、違法・不正な商標使用行為に対する管理を強化し、全社会における商標専用権の尊重と適切な行使を導き、公正な競争を促進し、高品質な発展の実現を推進するため、下記の事項を通知する。
一、業務目標
人民の利益を最優先し、公正かつ合理的な保護を堅持し、全社会における合理的かつ規範的な商標使用を導くことに力を入れ、商標使用に関する違法・違反行為に対する監督管理と規制の強化を絶えず進め、商標を通じた虚偽の表示など公衆を欺き誤認させる行為を厳しく規制し、適正で整った商標使用秩序を断固として維持し、消費者及び生産経営者の利益を強固に保護し、誠実な経営と公正な競争が行われる市場環境を積極的に醸成し、全国統一市場の構築に貢献する。
二、重点的な注目対象となる違法・違反行為
(一)欺瞞的など禁止された未登録商標を使用する行為。「専供」「特供」「極品」「国」などの内容を含む未登録商標を使用し、商品の供給元や品質について公衆に誤認を生じさせる行為、または、「富硒」(セレン豊富)「有機」「ゼロ添加」「100%」などの内容を含む未登録商標を使用し、かつ表示された商品の実際の属性が当該内容と合致せず、商品の主な原材料、成分などの特徴について公衆に誤認を生じさせる行為、または、地名、年号、「手工」(手作)「手打」などの内容を含む未登録商標を使用し、商品の原産地、生産時期、製造工程などの特徴について公衆に誤認を生じさせる行為に重点的に注目する。
(二)欺瞞的に登録商標を使用する行為。登録商標を商品名称、広告宣伝文句、商品の包装・装飾などと組み合わせて使用し、商品の品質、原産地、製造工程などの特徴について公衆に誤認を生じさせる行為、または、登録事項を自ら変更し、商品の品質などの特徴について公衆に誤認を生じさせ、もしくは他人の商標に便乗する目的で自ら変更を行う行為に重点的に注目する。
(三)登録商標として偽装して使用する行為。欺瞞的な未登録商標に登録マークを付し、もしくは登録商標であると称する行為に重点的に注目する。
(四)使用すべきであるにもかかわらず登録商標を使用していない行為。タバコ分野、特に電子タバコなどの新型タバコ製品に重点的に注目する。
(五)商業活動において「馳名商標(周知商標)」の文字を顕著に使用する行為。認定記録のある「馳名商標」の文字を広告宣伝に使用する行為に重点的に注目する。
(六)団体商標、証明商標の違反使用行為。団体商標、証明商標を使用する商品が、使用管理規則の品質要求を満たしていない行為に重点的に注目する。
(七)商標代理機関の違法な代理行為。商標代理機関及びその従業員が、悪意のある商標出願、悪意のある「撤三(3年不使用取消)」など、商標権者の利益を損なう行為を代理する行為に重点的に注目する。
三、業務措置
(一)作業メカニズムの健全化。市場監督管理部門との役割分担及び協力メカニズムを構築・健全化し、違法・不正な商標使用行為に関する通報受理メカニズムを完善し、通報経路を円滑にし、連携を強化し、協力を形成する。
(二)重点的な実態調査の実施。日常的な監督と世論モニタリングを強化し、人民の切身の利益に関わる食品・医薬品、子供用玩具、家庭用電気製品などの分野に重点的に注目し、商標を利用して消費者を欺き誤認させる違法の手口や不適切な行為を適時に発見し、商標使用管理と執法指導の力度を強化する。
(三)手がかりへの速やかな対応。違法・不正な商標使用行為及び不正な手段による商標代理市場秩序の攪乱などの違法行為の手がかりについては、速やかに市場監督総合執法チームに通報し、法規に基づき調査処分を求め、複数地域を跨る事件の手がかりについては、上級の知的財産管理部門に順次報告し、調整対応を要請することができる。
(四)コンプライアンス指導の強化。生産者、経営者に対する宣伝教育の強化を通じて、商品及びサービスの品質を保証し、商標の信用を維持し、投機的心理を捨て、誠実な経営を行うよう促す。商標保護、運用などの関連政策において、商標のコンプライアンス使用要求を強化し、企業によるコンプライアンス商標使用を積極的に導く。
(五)総合的な治理の強化。商標代理機関の監督管理を強化し、業界団体の役割を十分に発揮させ、商標代理機関が申請者に対して正しい商標出願及び使用の理念を積極的に伝えるよう提唱する。信用監督を強化し、各種の違法行為を行い、重大な結果を生じさせた主体に対しては、法令・規則に基づき、失信者への懲戒を適切に行う。
(六)良好な雰囲気の醸成。商標関連法令法規の宣伝力度を強化し、商標使用管理業務において形成された典型的な事例と経験を適時にまとめ、全社会における商標専用権の尊重と適切な行使の良好な雰囲気を積極的に醸成する。
各省級知的財産局は、政治的立場をさらに高め、商標使用管理業務の強化の重要な意義を深く認識し、業務の積極性と自主性を着実に高め、当該地域の実情を総合的に分析・判断し、業務の統括的調整と協力を強化し、合法的かつ規範的な商標使用の良好な秩序を構築し、人民の利益を着実に守るものとする。
国家知的財産局事務室
2025年11月17日
上記の「通知」及び最近の行政執行と司法実務に基づくと、現在の商標管理の中核的な新たな動向は、違法・不正な使用行為に対する厳格な規制であり、特に公衆を欺瞞・誤認させる商標使用に焦点が当てられています。例えば、未登録商標において「100%」の文字を使用したにもかかわらず、製品の原料が100%特定の原料を使用していない場合や、未登録商標において「北海道特選」の文字を使用したにもかかわらず、製品の原料が実際に北海道産ではない場合などは、「商品の実際の属性について公衆に誤認を生じさせる」可能性があるとして、取締りの対象となる可能性があります。
さらに、商標の規範的管理に関して、立法面でも進展が見られます。2025年12月22日、「中華人民共和国商標法(修正草案)」が全国人民代表大会常務委員会会議に初めて審議に付されました。これは、通知に示された商標管理の新たな動向が、まもなく法的枠組みにおいてさらに確認され推進されることを意味します。
したがって、各商標権利者には、中国における自社の商標ポートフォリオと使用状況を踏まえ、事前に商標使用に関わるコンプライアンスを実施し、必要に応じて専門的な知的財産事務所に相談し、マーケティング、法務等の各部門が中国の最新の商標管理動向を十分に理解することを確保されるようお勧めします。これは、商標法改正後、各権利者が新たな商標管理環境へスムーズに移行し、安全かつ安定的に商標ブランドを運用できるようにする上で重要な意義を持ちます。
今回の商標使用管理政策に関するご紹介が、中国の最新の商標管理動向をより良くご理解いただき、ルールの活用によってブランド資産の管理、法的リスクの予防・管理、自社の正当な権利保護をより効果的に行い、中国市場における着実かつ長期的な発展を実現される一助となれば幸いです。
The content of this article is intended to provide a general guide to the subject matter. Specialist advice should be sought about your specific circumstances.